「東京コミコン2020」アメコミ翻訳者ステージレポ! - 翻訳家の苦労や目指したきっかけとは?
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「FRC」の管理人をしているゆとぴです。特撮、アメコミ関連が趣味です。
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ポップカルチャーイベントの東京コミコン2020の3日目では、アメコミ原作本の翻訳者に焦点を当てたステージの「第四の壁より言葉の壁を越えろ!アメコミ翻訳者トークステージ」が開催された!
ある意味では一番ディープな内容となっているので、ぜひ注目!
グリヒルからもメッセージ!
才原茉莉乃さん(以下、才原さん):今回こちらのステージはアメコミの日本語で読めるようになるにはどうしているのかを伺っていくステージです!
今回はお二人をメインとしてトークしていきます!
吉川悠さん(以下、吉川さん):アメコミ翻訳をやっております、吉川悠ことキャプテンYと申します。よろしくお願いいたします。
柳亨英さん(以下、柳さん):同じくアメコミ翻訳をやらせていただいています、柳 亨英と申します、よろしくお願いいたします!
才原さん:まずはグリヒルからのメッセージがあります!『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』というコミックをグリヒルさんが描いて、翻訳をキャプYさんがされているということで、メッセージをいただいております。
グリヒルさん:今年5月に発売された『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』が、早くも11月に翻訳本が発売されることとなりました。アメコミとして描いた作品が、国境を越えて見られることはいつも不安と期待でドキドキしています。
DCコミックスの代表的なヒーローであるスーパーマンを描くことは、私たちにとって挑戦でした。特に今回は第二次世界大戦直後のアメリカで、人種問題や差別などシリアスな問題が根底にあるだったので、日本人である私たちが表現できるのか不安でしたが、ハーベイ賞をいただくことができました。
この作品ができるだけ多くの人々にに触れて、なにかのきっかけになればと思っております。
柳さん:吉川さんに作品の説明をねがいしてもよろしいでしょうか
吉川さん:1940年代はスーパーマンのラジオドラマが人気で、中国系の移民を悪人から助けるストーリーがあり、それを元にコミックとして作り直したものです。中国系の移民とスーパーマンという宇宙からの移民という共通点をみつけ、アイデンティティを発見して成長していくというストーリーです。
時代背景が今の時代にも通じるので、アメリカでも賞をとったりしているので、今後も賞とっていく可能性がありますので、とても評価が高く、関われて光栄でした。
柳さん:スーパーマンは多民族国家のアメリカでも象徴的に描かれることが多いので、移民としてのスーパーマンを問いなおした作品になっているのと、アメリカの今の情勢にマッチしていました。元々は子供向けだったけど、新聞社など大人にも訴求できていました。
アメリカの問題だけではない部分もあるので、スーパーマンや中国系の移民の少女を通して見ていただければと思います。
たった半年足らずで日本語翻訳でるのは異例ですよね。
翻訳家になったのは偶然に?
才原さん:なぜ翻訳者になろうとしたのですか?
吉川さん:思ったことは無かったですね。
才原さん:そうなんですか?(笑)
吉川さん:ツイッターでアメコミについて強そうにしていたら、インディーズ出版でお声がかかって飛びつきました。何冊かインディーズ系のコミックをだして、それがきっかけでDCやマーベルの仕事をいただけるようになりました。
なりたい人には申し訳ないのですが、偶然になってチャンスを逃さなかっただけですね。
才原さん:ここまで日本で翻訳本が出るのはここ最近ですよね。
柳さん:年に2回出ればいいやというのもあって、また来年もたくさん出そうなので、翻訳本が好きなひとには嬉しい時代ですね。映画もなかなかやらないときに、アメコミ充したい人にはじっくり翻訳本を読んで欲しいですよね。
吉川さん:翻訳本が増えたので僕にもチャンスが巡ってきたのもありますよね。
柳さん:このパネルを見ている人にはあまり言わなくてもいいですが、直接の原作が無いのですよね。
才原さん:いろいろなところからかき集めていますからね。
柳さん:新たな楽しみを発見できるのが、翻訳本の楽しみでもありますし、映画がヒットしてコミックにも逆輸入もありますよね(笑)
吹き出しに日本語を入れるのは難しい?
才原さん:翻訳するにあたって、気にしていることはありますか?
吉川さん: 1つ目は、映画の字幕は一回に移す文字数が決まっていて、多いと読みづらくなってしまう。翻訳すると吹き出しのスペースが足りないことがほとんどなので、僕の場合はいろいろ削ってなるべく短いことにすることで苦労しています。意識しないと気付かないけど、ゲームの翻訳も同じ。日本語は結構スペースが必要なんです。
日本の漫画はもともと余白をとっているんです。結構パツパツになることもあるし、そうなっていたら「吉川のやつ失敗してるな」と思っていただければ思います。
吉川さん:2つ目は物語を翻訳するときに自分が読んだあとに再構成した方が良いと思っています。理想は自然に読んだ方がいいし、翻訳のままの方がいいけど、なかなかできないですね(笑)バランスを考えながらやっていますが、難しいです。
才原さん:アメリカでは面白くても、日本語っぽくするのか、日本の文化に寄せるのかはありますか?
柳さん:「良いニュース・悪いニュース」のような言い回しは残しますよね。
才原さん:そのままが良いところもありますよね。
柳さん:日本語っぽくなるのも残念ですし、キャプテンアメリカがみそ汁がどうのでるのもアレですからね(笑)
吉川さん:バットマンが「南無三」とか言わすのもね(笑)
才原さん:個人的にキャラの気持ちがわかるといったことはありますか?
吉川さん:僕はそこまで意識してなかったけど、バットマンのレッドフードがやけに褒められたことがありましたね。原文もおもしろく、自然にやっていたら褒められました。
才原さん:そういうことあるんですね。
吉川さん:解説本のドクタードゥームの文章もでやっと時はすっきりハマって、すーっと入ってきたのもよかったですね。未だにに観ますからね(笑)
才原さん:印象に残っている作品というのありますか?
吉川さん:一生懸命にやっているので覚えていないところもありますが、『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』で中国系移民にスーパーマンが痛いところをつかれたところはとてもエモくなりましたね。ちょっと感動してしまった。
常にディープで、思わず聞き入ってしまうほどに興味深い話をしてくれた吉川さんと柳さん。アメコミ翻訳家というなかなか聞くことのできない職業の裏側を知ることはアメコミに興味を持つきっかけにもなるでしょう。
今後の東京コミコンでもぜひとも聞いてみたいトークセッションだった。
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